桐材について

桐は高貴な色とされる紫色の花を咲かせることから、日本では神聖な木とされ「高尚」という花言葉が付いています。
そして桐は皇室の紋章(菊花と並んで)とされ500円硬貨や勲章にも用いられています。また、桐には、パウロニンやセサミンといった害虫や菌を寄せ付けない成分があります。

日本の桐の種類には朝鮮桐、台湾桐、ラクダ桐、薄葉桐、九重桐、日本桐(内地桐)などがあり青桐は別の種類である。中国には中国桐、アメリカには北米桐、ブラジルの南米桐、などがあります。

桐は北海道から九州まで日本各地で生育しています。志度の桐下駄に使用しているのは、日本桐の中でも、特に東北地方の物を使っています。

豪雪地帯で育った桐は年輪がしっかり詰まった最高級品の会津桐(福島県産)65%、越後桐(新潟県産)35%を使用しています。特徴は軽くて丈夫で柔らか、吸水性が高く、保温性に優れているので下駄の素材としては最適な材料です。諸外国を見ても日本ほど桐を使う民族は他に居ないでしょう。例えば桐たんす、四季のある日本では夏場の湿気を吸収し、冬場の乾燥を防ぐ効果があり、桐箱は磁器、陶器、掛軸、高級贈答品等、に使用され、いにしえより宝物入れとして使われてきました。その他にも太鼓のブチ、能面、日本の楽器の琴も無垢の高級桐が使われています。東北ある地方では女の子が産まれると庭に桐の木を植え、その子が嫁入りするときに、桐だんすにして持たせると言う風習があったそうです。中国では庭に桐を植えると鳳凰が飛来し幸福をもたらすという言い伝えがあるそうです。

志度で仕入れる桐材は丸太ではなく、28cmから30cm位に切った上、更に二つ割りした、甲良、枕、糸子材等にした物を降雨量の少ない香川県の気侯の中で約1年間天日干しし、完全に乾燥した材料で下駄に成型していきます。昔は国鉄(現在のJR)志度駅に引込線があり、遠く福島からきた貨物列車に満載の桐材が積み込まれていました。それを各業者が大八車で駅の引込線の際で積込をしたそうです。それぞれの業者が持ち帰り土場で泉に巻いて乾燥させました。その風景が鉄道沿線から見えて、志度が桐下駄の産地というのがよく分かったそうです。