桐下駄の製造工程

下駄を大きく分類すると、直履き、差歯下駄、厚物下駄に分けられ、それぞれ製造の工程が違います。また、昔はすべて手作業でしたが現在では2分の1程度が機械で行なわれています。送られてきた桐材は、あくを抜くために風通しのいい場所に置き、天日で約1年乾燥させ、次のような工程を経て下駄が型どられます。(桐下駄としてを経ます。)

1 裁断
裁断する所にすみをつけ、バンドソウ(帯鋸)で道をつけ、次にちょんちょん(糸鋸)で引きはなしをします。

2 下駄の原型をつくる 昇降盤という機械ではばいれをします。次にカッター(七分機)で(1)長さと高さを削ります。(2)はまの厚みを削ります。(3)けつころをとります。(4)縁の厚みを削ってそろえます。ある程度の形を作るまでは、機械で一気にこなします。次に型をあてて、ロータリー式のカンナで決まったかたちに整えます。

七分機(しちぶき)と呼ばれる機械



3 歯すきをする 歯すきを行います。

4 丸め工程
天型でおさえて型をつくります。関東では花まわし機、関西では丸め円盤、丸め機という機械でします。型には、3本の釘がかざしてあり鼻緒の場所に同時に印がつくようになっています。

5 鼻緒の穴あけ、メボ打ち
穴あけ機で鼻緒の穴とメボの穴をあけます。この穴は下までまっすぐに開けるのではなく、履きやすいように、前後の穴をそれぞれ違った角度で斜めに開けます。鼻緒の穴は関東、九州では前むき、関西では後ろ向きにあけます。メボの穴の中にはラワンのしんを入れます。

下駄の台の表面の仕上げは、職人が何種類ものものノミや工具を使い分けて行ないます。使われる特殊な形の道具類は、全国でも数軒の鍛冶屋しか扱っていません。

6 すきあげ、縁、歯裏仕上げ
すきあげ、縁仕上げは、丸すきと十能を使い、歯裏仕上げはかんなを使います。



7 面取り
せんという道具で前のハマの角をとります。

8 脇仕上げ
かんなでかんながけをして下駄の側面をなめらかにします。

9 向打ちをする
向打ちと平のみを使います。

10 天仕上げ
傷がつくのを防ぐため、最後にかんなで仕上げます。

11 砥粉塗り
はけでとのこを塗ります。

12 うずくりで磨く
木目を浮き立たせるためである。

13 鼻緒つけ
くじり、釘、かなづち、とめ具で鼻緒をつけます。

その他、差歯下駄、厚物下駄(甲堀)についてはまた別の工程で作られます。